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相手を崩す攻め

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  出ばな技(2022年3月26日) 剣道で大切なものに打突の機会があります。 打突の機会が的確にとらえられていないと有効打突になりません。 相手を攻めることで変化や反応があり、構えの崩れや心に動揺が生じたところを打突する。 稽古量が少ない初心者の大人がそれを習得するためには、稽古を重ねて工夫するだけではなく、アタマでも理解しなくてはなりません。 攻めることで相手にどのような変化や反応が表れるか、そのときどのように打突するべきか。 全日本剣道連盟作成の「中学部活動における剣道指導の手引き」には、次のように記されています。  相手を攻めて生じる隙  ・相手が反応する前に素早く打つ(一本打ちの技)  ・連続技…相手が下がれば 小手・面         相手が出てくれば 小手・胴   ・相手がその場で受ければ 鍔ぜり合いから引き技   ・隙がなければ 払い技   ・相手が打とうとするところ 出ばな技  (「平成30年度 中学部活動における剣道指導の手引き」より) その一方で、相手と対峙したときに相手がこう打ってきたらこう返すぞと技の組み立てに夢中になっていては、相手の動きに心がとらわれてしまい、こちらが自由に動くことができなくなってしまいます。 「理の修行、事(わざ)の修行」という言葉があるそうです。 理とは何にもとらわれないことであり、無心になる修行のこと。 理と事は、車の両輪のように二つ揃っていなくては役に立たないものであると言えます。 相手とのやり取りに気持ちを研ぎ澄ませて無意識に技を出す。 簡単なことではありませんが、日頃の稽古から少しでも意識して取り組んでいきたいものです。 by t.masa

気勢(2022年3月3日)

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  剣道で《気勢》はとても重要です。 有効打突の説明には 『充実した気勢、適正な姿勢を持って、竹刀の打突部(弦の反対側の物打ちを中心とした刃部)で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものをいいます。(全日本剣道連盟 剣道試合審判規則より)』 と明記されています。 《気勢》の意味を辞書で調べてみると『意気込んだ気持ち。いきおい。』とあります。 丹田から左拳、そして剣先へと繋がる、相手を攻め上げるような気合い。 蹲踞から立ち上がり、触刃の間に入るまでの間に十分に気勢を充実させ、打突後の残心まで気勢を保ち続ける。 言葉にすると容易く思えますが、実際に実践するのは難しいものです。 YouTubeなどで試合や互角稽古の動画を見ていても、気勢が充実した人の剣道はやはり目を惹きます。 植木職人が使う庭園用語にも《気勢》という言葉があり、木や石から『目に見えない力の動きが感じられること』という意味で使われるそうです。 t.masa

剣道形と機

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  剣道形と機(2021年12月11日) 日本剣道形の解説書には「機を見て」という言葉が繰り返し登場します。(太刀の形 七本すべてに登場します) 「機」とは、物事の起こるきっかけ、きざしのこと。 柳生新陰流では、「機(気)をみる心」の養成に重点が置かれたといいます。 自分が置かれた状況を見据えて、退くことなく、いかにしてその場を切り抜けていくか。 剣道に限ったことではなく、人生においても同じことが言えそうです。 剣道は「人間形成の道」ですね! 戦国の世を命懸けで生きた流祖が会得した「形」を習うことで、剣の理法の奥にある武士の精神を感じることができたら、剣道形の稽古がより一層楽しくなりそうです😆 t.masa 参考文献:『剣道と「き」』大保木 輝雄(全日本剣道連盟ホームページ)

引き技

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  稽古風景(2021年10月23日) ワクチン接種が日本よりも先行している海外で、コロナの新規感染者数が急増しているそうです。(イギリスの一日の新規感染者数は五万人に迫る勢い) まだまだ油断は禁物ですが、埼玉県内における一日の新規感染者数が18人になるなど、以前と比べて大幅に減少している状況です。 もちろん面マスク等の対策は必須ですが、少しずつ以前のような稽古ができるようになってきています。 本日は素振りと打ち込み、地稽古というメニューで稽古をしました。 コロナ禍の剣道のルール 『鍔競り合いを避ける。やむを得ず鍔競り合いとなった場合は、すぐに分かれるか 引き技を出し 、掛け声は出さない(引き技時の発声は認める)』 最近の稽古では、引き技を練習しています。 『学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるかを思い知らされる。自分の無知に気付けば気付くほど、より一層学びたくなる』 アインシュタインの言葉ですが、剣道も同じですね。。 by  t.masa

剣道に興味があるけれど①

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剣道と礼儀作法(2021年10月13日) 剣道に興味があるけれど、剣道について詳しく知らないし、道具や費用のことなど、疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。 私はまったくの剣道未経験者で、子どもが剣道に興味を持ったことがきっかけで自身も剣道を始めました。 剣道に興味があるけれど、一歩踏み出せないでいる方々に向けて、自身の経験を交えながら、剣道について一緒に考えていけたらと思います。 今回のテーマは「剣道と礼儀作法」についてです。 親が子どもに剣道を習わせたいと考える理由のひとつに「礼儀作法を学んで欲しいから」という理由があるそうです。 たしかに剣道を始めると礼儀作法が身につくイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。 剣道では、稽古場に入るときには「お願いします」、稽古場から出るときには「ありがとうございました」と立礼をすることを学びます。 これは稽古場があるからこそ稽古ができるんだという感謝の気持ちから生まれるものです。 また、稽古の始めと終わりには、先生と向き合って正座をし、正面、先生、お互いにと三回の礼をします。 これは指導をしてくださる先生はもちろんのことですが、一緒に稽古をしてくれた相手に対する敬意や感謝の気持ちから生まれるものです。 私見ですが、剣道を通じて身につける礼儀作法とは「感謝する心」ではないでしょうか。 子ども達への道徳教育が薄れていく時代だからこそ、剣道を通じて「相手に感謝し、尊敬する心」を育んでいきたいですね。 見学・体験をご希望の方はこちら by  t.masa